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東方紅魔郷
永遠の半人前と幻想郷の記憶 1
 霊夢が向かったのは人里の一角に建つ大きなお屋敷。ここには妖怪に詳しい歴史学者がいる。

「阿求、いる?」

 稗田阿求。一度見たものを二度と忘れないと言う完全記憶能力を持つ一族の少女である。
 稗田の一族はその能力と一族に伝わる秘術によって、先祖からの記憶を全て伝承し、歴史学者として有名である。



「あら、霊夢さん。どうしたんですか?」
「どうしたんですか?じゃないわよ。外に出てないの?」
「ああ。この霧の事ですか?私も気になって調べてみたのですが、私の記憶にも、書庫の書物にも該当しそうなものがなくて」
「あんたでもないか……」

 それなりに阿求を頼りにしていた霊夢が落ち込む。そのとき、

「すみませーん」

 玄関の方から声が聞こえた。

「今日はお客様が多いですね」
「よくこんな変な霧が出てる中外を出歩こうなんて思うわね」
「霊夢さんが言えた立場ではないと思うのですが、」
「あんたは私の役目について知ってるでしょうが」

 博麗の巫女の務め。幻想郷を危機に陥れかねない異変を解決すること。
 博麗大結界の維持、管理の他に異変解決も幻想郷を守るために必要なことだ。

「ごめんください」

 阿求を訪ねてきたのは、銀髪の少女だった。腰には二本の刀が携えられていて、少女の傍らにはプカプカ白い風船のようなものが浮いている。少女は阿求の他に霊夢の姿も認めるとペコリと頭を下げた。
 霊夢は少女から普通の人間が持つはずのない特殊な気を感じた。

「霊気?幽霊なの?」
「半分だけですけどね。申し遅れました。冥界の西行寺家の庭師をしております魂魄妖夢と申します」
「魂魄家……確か、冥界の名家、西行寺家を懐刀として支える半人半霊の武家でしたっけ」
「はい。私はまだ家を継いだばかりの若輩者ですが、幽々子様の支えになれるよう粉骨砕身していく所存で」

 阿求の呟きに緊張しているかのような妖夢が一々律儀に答える。

「緊張する必要はありませんよ。私だって見た目通りまだ子供ですし」
「すみません。冥界から外へはほとんど出たことがなくて、人に慣れていないんです」
「う〜ん、そうだ。私と一回デュエルしましょう」
「え?」

 阿求の突然の提案に妖夢が目を丸くする。

「わざわざ冥界から出てきてもらったんですから、ただ調べ物をして帰るだけってのは味気ないと思います」
「……そうですね、師匠も見聞は広くするべきと言っていたことですし、井の中の蛙というわけにもいきません。幽々子様をお守りするための修練にもなるでしょうし、魂魄家としても勝負事から逃げるわけにはいかないでしょう。分かりました。その勝負受けましょう」

「「決闘!!」」

永遠の半人前
 魂魄妖夢
     vs
      幻想郷の記憶
       稗田阿求

■筆者メッセージ
挿し絵の使用許可をくださったれっれれ様、ありがとうございます
http://touch.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=49987835
KngOzk ( 2015/08/13(木) 19:21 )