『知ってる顔が同じとは限らない』
08
「何を隠そう俺と紡はあの英雄『真木波 遊騎』の末裔なんだ」

 誇らしげに言う繋とは反対に、カグラ達は口を半開きにして固まっていた。

「ど、どうした?」

「え、真木波君が英雄で……君らが真木波君の子孫て……嘘やろ?」

 真顔になるカグラだが、確かに繋も紡も何処と無く面影があるのは感じていた。

「嘘なもんか。 あれを見てみろよ」

 気分を害したように険しい表情を見せて繋は城の中庭を指差した。
 否、厳密には中庭ではなく、中庭にある銅像を、だ。
 カグラと五十鈴、ガンダーラは銅像近くへと向かい、見上げる。
 銅像は男と女騎士を象った物で、剣を手にした男が騎士に命令を下しているように見えた。
 まあ、銅像の構図等は今のカグラに関係はなく、誰をモチーフにした像なのか、それが重要であった。

「マジなんかい……」

 男の顔はカグラのよく知る人物、彼がライバルと決めた探偵『真木波 遊騎』その人であった。
 親切に銅像の台座に『英雄真木波遊騎とその騎士ガウェイン』という題名も掘り込まれている。

「探偵さん……とガー子さん」

 五十鈴も像を見て驚きの表情を浮かべる。

「遊騎様は私達ERKとRKを結んで下さった立派な方よ」

 桐子が遊騎の像を眩しい物を見るように眼を細める。

「真木波君が英雄?……英雄……ぶはっ、ぶあっはっはっはっは!」

「カ、カグ君?」

「貴様、我々の英雄を見て笑うとは……どういうつもりだ?」

 急に笑いだしたカグラに敵意を剥き出しにする晋吾、否……他の三人もすぐにでも襲いかかりそうな気配を放ち、カグラを睨み付けていた。

「あー、堪忍な。 馬鹿にしとるわけやないんやわ。 嬉しくて、ついな」

「嬉しい?」

 怪訝な顔を見せる晋吾に頷いて見せるカグラ。

「俺が唯一認めたライバルが別世界では英雄んなるような奴だった、とあれば嬉しくないわけ無いやろ?」

「ライバル、別世界? 何の話?」

 首を傾げる桐子に、カグラは指差して高らかに告げる。

「せや! 俺は相棒の力を使うて、違う世界から来たんや」



月光龍 ( 2015/07/22(水) 14:35 )