『知ってる顔が同じとは限らない』
07


「わあ……凄いお城」

「私達のご先祖様が建ててからそのままの形で残ってるんですよ」

 赤い絨毯が敷かれた石畳の上を歩きながら、五十鈴が子供らしい感想を口にし、そんな彼女の可愛らしい姿を微笑ましそうに見ながら、黒髪の少女が軽い補足をしてくれる。

 晋吾達に案内された城はお伽噺で出てくるような立派な物で、歴史を感じさせる貫禄を持ちながら古くささは感じられず、内装ははで過ぎずに要所に豪奢な装飾が飾られていた。
 初めて見る五十鈴にとっては何処へ視線を移しても、紋章や刀剣、鎧等、興味を引く物で溢れ帰っていた。

「スズ駄目やで? あんましジロジロ見てたら失礼やん」

「……なら、お前が陶器を手に取ろうとしているのは失礼には当たらないのか?」

 五十鈴を諭しながら、自分はちゃっかり仕事(盗み)をしようとするカグラにガンダーラの拳骨が飛ぶ。
 無論、避けられるのだが。

(……コイツ、本当に警備隊の晋吾を手玉に取るような実力者なの?)

 漫才のように展開されるカグラたちのやり取りを見て桐子は疑問を抱くが、先のランスロットを封じた精霊を思い出して自ら疑問を否定する。

(あの竜の精霊、とても強い力を感じたわ……あの精霊だけは本当に注意しなきゃ)

「んん? 桐子ちゃん、じーっと見てどないしたん? もしかして惚――」

「それはありません」

 言葉を遮って拒絶の意を示す桐子。
 美人にはっきりと断られ失意の底に叩き落とされたカグラは、話題を変えるべく話を切り出した。

「そういや潮君と桐子ちゃんはなんとなーく知っとるけど、君ら二人は何者なん?」

 カグラは晋吾と桐子の後ろを歩く二人の男女に眼を向けた。
 話を振られた二人は一礼してから名前を明かす。

「俺は『真木波 繋』、ラウンジナイツ国の騎士で、桐子さんの部下だ」

「私は繋の双子の姉の『真木波 紡』です」

「真木、波?」

 二人の自己紹介を聞き、カグラと五十鈴は顔を見合わせた。

「あ、あの……」

 遠慮がちに手を上げる五十鈴。

「……『真木波 遊騎』さんとは、親戚、ですか?」

 五十鈴の質問に今度は騎士の国の面々が顔を見合わせる番だった。

「家の国の出身でもないのによく知ってるな」

 『真木波 遊騎』その名をカグラ達が知っている事が嬉しかったのか、繋は微笑を浮かべながら言葉を返した。


月光龍 ( 2015/07/22(水) 14:34 )