『知ってる顔が同じとは限らない』
04
「お? なんかランスちゃんもいつもと鎧が違うやん。 イメチェン?」

「私はずっとこの姿ですわ!」

 その一言と共にランスと呼ばれた騎士、ランスロットはカグラとの距離を一瞬で詰め、神速の槍を放つ。
 常人には黙視すら難しい一撃に、放った当人は元より主である晋吾も哀れな怪盗(?)に黙祷を捧げていた。

「おー怖い怖い。 相も変わらずマーヴェラス」

 だが、カグラは軽口を叩きながら槍の横っ腹を掴んで笑っていた。
 勿論槍はカグラに到達してはいない。

「なっ!?」

 予想外の動きに眼を丸くするランスロット。
 すかさず槍を蹴り上げ、ランスロットに隙を作ると。

「もろたで!」

「しまっ――」

 手で防御の形を取ろうとするが、もう遅い。
 カグラの掌底がランスロットへと襲い掛か――。



――ふにょん



 ランスロットに触れる寸前、カグラの掌は勢いを無くし鎧の隙間を縫ってその奥に揺れる山脈に触れていた。

「おっほー、やっぱええもん持っとるのぉ」

「何、してますの?」

 怒りに震えた声に、カグラは満面の笑みを浮かべて答える。

「お乳様にご挨拶に決まっとるやん?」

「ッ、この!」

 カグラを振り払うように槍を横薙ぎに振るうランスロットだが、それはカグラに当たることはない。
 胸から手を離し、ランスロットから距離を取ってからもカグラは手に残った温もりを確かめるように何度も握ったり開いたりしていた。

「カグ君……最低」

「羨……なんと破廉恥な」

 味方からもドン引きされながらも、カグラは一つ頷いた。

「ん、今ので解ったわ」

「え、何が?」

 首を傾げる五十鈴にカグラは。

「いつものランスちゃんなら、『捕らえる』ために多少力をセーブしとるもんやが、今は確実に『殺り』に来てた」

 カグラの考察に何度も頷く五十鈴とガンダーラ。

「あくまで警官である潮君はそんな命令下さへんし、最初潮君達も次元越えてきたと思うとったけど、別次元の別人やっつーことやね」

 言いながらまた手を握り。

「一番の決め手は、胸の感触が何時ものランスちゃんより――ぐべっ」

 後方から飛んできた氷の塊に言葉を遮られるが、なんとか持ち直すカグラ。

「いててて、スズ……手加減っつーもんを……」

「知らない……」

「さて、潮君が居るんや。 真木波君も居るんやないかな?」

月光龍 ( 2015/07/14(火) 14:35 )