『知ってる顔が同じとは限らない』
34


「ふぃ〜、疲れた疲れた〜っと」

 次元の回廊に入り、一息吐いたカグラは光子竜の背に寝そべった。

「スズ、もうええで〜」

 カグラの言葉に五十鈴はマフラーから這い出てくると、ピョンッと飛び降りた。
 光子竜の背中に足を着く前に、五十鈴の体は落下しながら本来の大きさを取り戻し、静かに着地した。

「……ふぅ……」

「お疲れさん」

 もとの大きさに戻った五十鈴の頭を撫でながら、労いの言葉を掛けると五十鈴は気持ち良さそうに目を細めた。

「どやった? 初めて仕事見た「感想は?」

「カグ君、凄かった」

 目を輝かせる五十鈴の様子に胸を張ろうとしたカグラだったが。

「けど、紡って人の前でずっと鼻の下伸ばしてた」

 と、むくれる五十鈴に慌てて反論する。

「なっ、んな事あらへんよ」

「……貴方もそう思うよね、ギンガ」

「ギンガ?」

 聞き慣れない言葉に首を傾げるカグラに答えを教えるかのように、光子竜が大きく啼いた。

「ほら」

「ほら……って、ギンガって相棒の事かいな」

 呆れたように言うカグラに五十鈴は頷くと、指を三本立てて言う。

「銀河眼が三人も居ると、名前で呼ばなきゃ分からないでしょ?」

「いつの間に……てか見分け付かんやん」

 そう言うカグラに、驚いたように目を丸くする五十鈴。
 「え、見分け付かないの?」とでも言うように。

「え、スズ見分けられるん?」

「ギンガはね、顔が細くてかっこいいんだよ」

 五十鈴に誉められて、ギンガは照れた様に唸り声をあげる。
 カグラはギンガの顔を凝視するが、まるで分からない。

「……カグ君」

 憐れな物を見る目の五十鈴に耐えられなくなり、カグラは銀河眼の精霊を具現化させる。
 五十鈴がギンガと名付けた竜の両脇に新たな竜が現れると、カグラは彼らを指差して言った。

「じゃ、じゃあコイツらの名前と見分けかたは!?」

「右の子がヒカリで、左の子がアイちゃん」

 名を呼ばれきちんと返事を返す光子の竜達。

「ヒカリは羽根が一番綺麗で、アイちゃんは眼が一番丸いんだよ」

 見分けかたを聞いたところで、まるで分からないカグラに、一人と三匹の批難の視線が集中する。

「安心しろ私も分からん」

「ハゲのオッサンは黙っとれ」

「なっ、折角私が助け船を――」

 抗議を入れるガンダーラを無視し、カグラは溜め息を吐いた。

「分かった。 顔覚えるんわ善処するわ……」

 カグラのその返答に、渋々納得した様子でアイとヒカリは実体を解いた。

「で、どうなのカグ君……紡さんの事」

 じと目で見てくる五十鈴。

「ぐぬぬ……ハッ!? せやせや、お宝のチェックせなな!」

 名案を思い付いたとばかりに、カグラは懐からカードの束を取り出した。

■筆者メッセージ
た、たぶん次で終われるかと
もうしばしのご付き合いをお願いいたします
月光龍 ( 2016/01/01(金) 15:44 )