『知ってる顔が同じとは限らない』
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(カグ君、手抜いた)

 五十鈴の指摘にカグラの身が僅かに震えた。

(何言うとるんスズ? 真木波君(孫)は強かったで?)

(……カグ君の手札、あれあったでしょ)

 更に鋭くなる五十鈴の言葉に、カグラは頭を抱えた。

(【ディメンジョン・ワンダラー】……銀河眼の効果でモンスターが除外された時に使ってれば追い込まれなかった)

(目、ええなスズ)

 一度溜め息を吐いてからカグラは観念したかのように喋り出す。

(真木波君の子孫や、どんな決闘をするか気になったさかい、使わんで温存してもうてな)

(カグ君、もしかして探偵さんに負けてるのって……)

(いや、それはあらへん。 真木波君は強いでー。 そんでその末裔や俺があれ使うても違う手で攻めてきたと思う)

 いまいち納得の行かなそうな五十鈴だったが、「わかった」とだけ言って何も言わなくなった。



「お二人のお部屋はこちらになります」

 紡に案内されたのは朱色に塗られた気品のある扉だった。
 金で創られた花の装飾が目を惹く立派な物が、隣り合わせに二つ並んでいた。

「では、鍵をお渡ししますが、部屋割りは?」

「あー俺はどっちでもええから、紡ちゃん決めたって」

 鍵を二つ取り出す紡に、カグラだが……。

「一つでいい」

 五十鈴の台詞に衝撃を受ける紡、カグラは苦笑いを見せる。

「あーええかスズ? こないなとこで二人で寝るんは世間的にあかんのやで?」

「いつもは二人で寝てるんですか!?」

 まあ、カグラの隠れ家は狭く寝床も一つしかないので、必然的にそうなるのだが。

「一人だと怖いから」

「!?私がいるぞ」

 俯く五十鈴に即座に出てくるガンダーラだったが、意に介される事はなかった。
 それを見たカグラは盛大に溜め息を吐くと、頭を掻きながら鍵を一つだけ受け取った。

「はあー、しゃあない。 俺は寝袋で寝るさかい、スズはベッドで寝ぇや」

「ではお客様を寝袋に寝かせるわけにはいきませんので、お布団をご用意させていただきます」

 紡も苦笑すると、一度御辞儀をしてからその場を後にした。
 それを見送ってからカグラは部屋の鍵を開け、中へと入っていくと――。

「なん、やこれ……」

「すごい……」

 王城の客室なのだから、立派な物であることは火を見るより明らかで、二人ともある程度の予想はしていたつもりだが、実際に見る部屋は予想を大きく上回る物だった。
 勿論、良い意味で、だ。

「はへぇ〜凄いの〜。 なんかのコテージみたいや」

 広々とした空間に、派手すぎずに飾られた装飾品、外の光を多く取り入れるために大きく縁取った窓、そこから外の中庭に続くテラス、と金持ちが持つ別荘のような装いだ。

「とりあえず、宿は見つこうたし、ゆっくりするか」

「うん」

 その後、二人は備え付けのバスルームやキッチンを見て一喜一憂していたようだった。

月光龍 ( 2015/09/02(水) 09:03 )