『知ってる顔が同じとは限らない』
15
「罠にチェーンして相棒の効果を発動させてもろたよ? 相手モンスターと相棒をバトルフェイズ終了まで除外する」

 してやったり、とどや顔を決めるカグラに舌打ちする繋。

「戦闘相手を除外する、か」

「戦闘破壊は困難、と見た方が良さそうだな」

 冷静に考察する桐子と晋吾の眼光は刃のように鋭い。

「んで、俺はバトルフェイズ終了〜っと」

 カグラのエンド宣言で場に竜と騎士が異次元より帰還する。

「大丈夫かヴォルパーシヴァル!?」

『だ、大丈夫です繋。 何とか自我は保てました』

(一体次元を越えて何が……)

 只ならぬ雰囲気のヴォルパーシヴァルに、繋は疑問を持つが彼女の姿を見るとそれを聞くのは憚られた。

「相棒の効果はこれだけやない。 除外したんがエクシーズモンスターやった場合、取り除かれたエクシーズユニットの数だけ500攻撃力を上げる」

 騎士達の魂を吸収して竜は神々しい光を放ち、雄叫びを上げる。
☆8【銀河眼の光子竜】ATK4000

「攻撃力4000!?」

「いやー真木波君はシンクロ召喚主体やさかい、この効果発動するんわ久々やわ」

「エクシーズ殺し、とでも言いそうな効果だな」

「お、エクシーズ殺し、か。 ええねその肩書き、使わせてもらうわ」

 晋吾の言葉を気に入り、満足そうに笑うカグラ。

「さて、今ので君の相棒も攻撃力下がったやろ?」

「くっ」

 エクシーズ素材を失い弱体化するヴォルパーシヴァルに、繋は呻いた。
R5【ERK―ヴォルパーシヴァル 征罰騎士】ATK2400

「俺はカード2枚伏せてターンエンドやで」

 繋 :LP4000 手札3
カグラ:LP4000 手札2

(戦闘破壊出来ないモンスター……効果破壊するカードも、効果を無効にするカードも今の手札にはない……どう攻略する?)

 自分を見下ろしてくる竜を苦々しく見上げ、繋は竜を打倒する方法を模索する。

『大丈夫ですよ我が主。 私が付いています』

 脂汗を掻きながらも主を安心させようと笑うヴォルパーシヴァルに、繋は。

(はあ……自分の精霊に心配されてちゃ世話無いな)

 一度息を整え、真っ直ぐにカグラを見据えた。

(お、良い顔するやん)

「俺のターン、ドロー!……よしっ」

 繋はドローカードを見て力強く頷き、そのカードをそのまま発動する。

「魔法【犯されし聖杯】」

 ヴォルパーシヴァル影の中から、金の竜を模した装飾が目を引く黒い杯が這い出てくる。
 その中身は血のような深紅の液体で満たされていた。

「なんや、偉い気味悪いもんが出てきたのぉ」

「ヴォルパーシヴァルを対象にして発動。 聖杯を飲んだ者の力は倍になり、敵に2回の攻撃を可能にする」

 聖杯に注がれた液を一気に飲み干したヴォルパーシヴァルの様子に変化が現れる。
 金の髪がみるみる内に闇のように暗い黒髪へと染まっていき、金の瞳は妖しく光りを放つ。
 足元の影がまるで生き物のように動きだし、彼女の剣に吸い込まれていった。
R5【ERK―ヴォルパーシヴァル 征罰騎士】ATK4800

月光龍 ( 2015/08/03(月) 13:51 )