『知ってる顔が同じとは限らない』
12
「駄目や」

 一切躊躇のない拒否だった。
 カグラの言葉に頭を上げる晋吾は、不機嫌そうな顔を見せた。

「怪盗、貴様には――」

「関係有りやボケ。 スズの保護者として言わせてもらうで潮君」

 晋吾の言葉を遮って、カグラは話を続ける。

「スズを兵器か何かと勘違いしてんのとちゃう? スズは普通の人間や。 ちょっと変わった力持って産まれただけのな」

 図星を突かれ、押し黙る晋吾。

「ええか潮君、戦争で切羽詰まっとる、どうにかしたいのはわからんでもあらへんが、人を兵器と同列に扱うんは許せへん」

 カグラの真剣な口調に晋吾は俯く。

「……確かにそうだな……目先の事に囚われていたな……五十鈴、といったか、今の話は忘れてくれ」

「マスター……」

 申し訳なさそうに五十鈴に頭を上げる晋吾を見て、カグラは溜め息吐いてから言う。

「でも、ま……顔知っとる奴の頼みを無下にすんのも胸糞悪いやん? 五十鈴は貸せへんけど……


俺が力貸したってもええで?」


 一瞬、その場の空気が凍った。
 何を言ってるのか、理解が追い付いていない様子が伺えた。

「? 何そんな鳩が機関銃食ろうたような顔しとん?」

「ほ、本気で言ってるの?」

 恐る恐る尋ねる桐子にカグラは大きく頷いた。
 晋吾も、自分があしらわれた相手が協力する相手ならば戦力的にも問題は無いと感じ、何も口出しはしない。

「ま、条件を出させてもらうけどな」

「条件?」

「そ、条件。 俺等この世界来たばっかで泊まるとこもあらへん。 俺は構わへんのやけど、スズを野宿させるわけにはいかんやろ?」

「つまり、宿を提供しろ、と?」

 先読みしてカグラの要求を言い当てる桐子に、カグラは「御明察」と微笑する。

「後はスズは前線には出さへん、ってのが俺が出したい条件や」

 カグラの要求に思案顔をする晋吾と桐子だったが、その横で繋がカグラの目の前に近づいてきた。

「カグラ、とか言ったな?」

「おん? どしたん真木波君(孫)」

 繋は不可思議な呼び方をされて顔をしかめるが、敢えてつっこまずに話を続けた。

「俺はお前の実力を見ていない……デュエルしろ」

「ちょっ!? 繋」

 ディスクを構え、カグラを睨み付ける。

「……まーせやな。 さっきは潮君しか見てへんかったもんなあ……リアルファイトしかしとらんけど」

 言いながら、カグラもDゲイザーとDパッドを機動させる。

「ええで、俺の力見てから雇うかどうか決めたらええ!」

「行くぞ怪盗!」

「打倒真木波君の踏み台にしてやるで! 真木波君(孫)!」

 繋 :LP4000 手札5
カグラ:LP4000 手札5

月光龍 ( 2015/07/26(日) 09:26 )